自律神経失調症と不安神経症
何もしていないのに、いいようのない不安や緊張感にかられる…そして精神的症状に加え、身体的症状にも不調が出てくる…そうした症状を不安神経症(=神経症性障害)といいます。
不安神経症は、症状によって細かく分類されています…
○全般性不安障害=漠然とした不安感を抱き続き、「胸が苦しい・頭痛・手足の痺れ」等々の症状が日常生活を脅かす神経症。
○恐怖神経症=危険性がないにも拘わらず、様々な状況において強い恐怖感を感じる神経症(=高所恐怖・閉所恐怖・先端恐怖・広場恐怖等々)
○対人恐怖症=人と会う/人前で話すことに強い不安感を覚え…酷くなると、外出することさえできなくなる神経症。
○強迫性障害=不合理と理解していても、特定の行動を何度も繰り返す(=強迫行為)/同じことばかり考えてしまう(=強迫観念)等々をしてしまう障害。
○心気症=客観的に自分の身体はまったく異常はないとわかっていても、少し調子を崩すだけで「自分は重篤な病状に犯されている」と思い込んでしまう障害。
○パニック障害=(例えば満員電車で)理由もわからず突然激しい不安に襲われ、動悸・呼吸困難・めまい等々を起こし、「このままでは死んでしまう」と混乱状態に落ちいってしまう障害。
このように不安神経症で最初に出てくる症状は、動悸・息切れ・息苦しさ・めまい、そして強い不安感等々です。そして、これらの症状に当てはまること…それは、自律神経が乱れている状態を示していることです(=交感神経が過剰に活動している)。
そして、その症状はある疾病とよく似ています。それは自律神経失調症です。つまり不安神経症も自律神経失調症も、似たような症状を発症するのです。
次のように考えれば、不安神経症と自律神経失調症を区分けできるかもしれません(どちらかといえば…)。
・精神的症状が強く表れた場合→不安神経症
・身体的症状が強く表れた場合→自律神経失調症
不安神経症を発症する人の中には、「潜在意識の中に、強い不安感や劣等感を抱いている」「過去につらい体験をしている」場合が多いともいわれています。
そして不安・恐怖という潜在意識が、蓄積され続けたストレスなどをきっかけに一気に爆発→様々な精神的症状となって発症するのです。
不安神経症を発症する人の性格は、「何事にも依存傾向が強い」「神経過敏、しかも小心」「自分自身の回りの状況に適応し切れない」等々の傾向にあります。
上記に不安神経症と自律神経失調症の区分けを明記しましたが、実際、不安神経症と自律神経失調症には明確な線引きがあるわけではありません。
それ故、自律神経失調症の身体的症状(=不定愁訴)を気にし過ぎるあまり、心気症(=不安神経症の症状)に発展する場合も往々にしてあります。